「デューラーの再来」と言われた天才線描家ホルスト・ヤンセンの驚異のデッサン力

Horst Jansen(ホルスト・ヤンセン)(1929–1995)の作品をご紹介します。日本でも過去に何度か展覧会が開催されご存知の方も多いはずです。

1929年にドイツのハンブルグで生まれた時に、ホルスト・ヤンセンには、すでに父親がおらず、オルデンブルク出身の洋裁職人の母マーサ・ヤンセンと祖父母の元で育ち、その祖父母も10歳のときなくなり、14歳には母も亡くなっています。その後、叔母のアンナ・ヤンセンの養子になります。入学資格は18歳でしたが、1946年16歳の時にハンブルク美術学校に入学したのは、叔母のアンナが書類をか書き換え、年齢を偽った為です。入学したハンブルク美術学校では、アルフレート・マウラー教授に教わり、「デューラーの再来」と表したのもマウラーです。ハンブルク美術学校の1年先輩に、版画家のPaul wunderlich(パウル・ヴァンダーリッヒ)がいました。ヴァンダーリッヒには版画を教わっています。

1957年、ホルスト・ヤンセンは28歳のときに自宅で、色彩木版画を展示した展覧会を開き、同年の2ヶ月後に28点を新たに制作しブロックシュテット画廊での個展を開催しています。
1965年、ホルスト・ヤンセンは36歳には素描と版画を中心にした回顧展がケストナー協会で開催されています。このケストナー協会は無名のワシリー・カンディンスキーや、パブロ・ピカソを紹介した重要な美術館として有名で、ここでの成功によってヤンセンの名はドイツ中に知れ渡ることになります。また、ハンブルク市のエドヴィン・シャラーフ賞を受賞しています。

そして、ケストナー協会での回顧展から3年後のヴェネツィア・ヴィエンナーレのドイツ館に作品出品し、版画大賞を受賞してます。しかし、その前年に、恩師であったアルフレート・マウラー教授と、叔母のアンナ・ヤンセンが亡くなっており、名誉ある賞を受賞しても、どこか浮かない表情だったといいます。

叔母アンナとマウラー教授の死後、ハンブルクの高級住宅街に引越し、1995年8月31日に亡くなるまで、終生を、その家で過ごすことになります。花をモチーフにしたり、特に晩年には、「北斎は私の父親だ」と言っているほど日本の浮世絵師である葛飾北斎などの日本の浮世絵に強く傾倒しています。

過去には、1982年に最初の展覧会を鎌倉の近代美術館で、1991年には小田急グランドギャラリーで、また近年では、2006年に埼玉県立近代美術館で回顧展、2005年には大丸梅田店で「ホルスト・ヤンセン展 ―北斎へのまなざし―」という展覧会が開催されています。

ホルスト・ヤンセンは版画や素描、水彩などで荒々しく緻密に描かれた作風がとても有名です。葛飾北斎の浮世絵の影響を受け、自ら葛飾北斎の真似をして「画狂人」と名乗ったり、絵の中に日本語が構成されていたりと随所にその影響の痕跡を見ることができます。ホルスト・ヤンセンの展覧会はニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、東京、ヴェネツィア、ローマ、オスロ、モスクワ、パリ、ハンブルク、オルデンブルクなど世界各地で開催されています。






ホルスト・ヤンセン「コルドゥラ」 1958年 銅版画

ホルスト・ヤンセン「コルドゥラ」

ホルスト・ヤンセン「解剖学教室」 1958年 銅版画

ホルスト・ヤンセン「解剖学教室」

ホルスト・ヤンセン「ヴェレーナのために」 1965年 鉛筆

ホルスト・ヤンセン「ファサン」 1979年 鉛筆、パステル

ホルスト・ヤンセン「アマリリス」 1979年 鉛筆、色鉛筆

ホルスト・ヤンセン「アマリリス」






ホルスト・ヤンセン「エルゴ」 1979年 鉛筆、色鉛筆

ホルスト・ヤンセン「ロスカ」 1979年 鉛筆、色鉛筆

ホルスト・ヤンセン「シカゴ」 1980年 鉛筆、色鉛筆

ホルスト・ヤンセン「シカゴ」

ホルスト・ヤンセン「ブーツ」 1980年 鉛筆、色鉛筆

ホルスト・ヤンセン「パラノイアへ」 1982年 鉛筆、パステル

ホルスト・ヤンセン「パラノイアへ」

ホルスト・ヤンセン「病、それゆえ助け」 1982年 鉛筆、パステル

ホルスト・ヤンセン「病、それゆえ助け」

ホルスト・ヤンセン「マッドドローイング」 1985年 鉛筆、パステル






この記事及び、ホルスト・ヤンセンの参考文献

画狂人ホルスト・ヤンセン―北斎へのまなざし (コロナ・ブックス)
画狂人ホルスト・ヤンセン―北斎へのまなざし (コロナ・ブックス)

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作品掲載元

Galerie und VerlagSt. Gertrude – Hamburg
ホルスト・ヤンセン展 — 北斎へのまなざし —
Horst Janssen (German, 1929–1995)

 
 
 

2013年5月14日に投稿された記事を再編集しています。

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