【多重人格者】約20の人格が存在する解離性同一性障害者の女性が描く絵


イギリスのKim Noble(キム・ノーブル)(1960年生まれ)は解離性同一性障害(DID)を患っています。俗にいう多重人格障害です。それぞれの人格の独立性がとても強く、過去に類似例がないほど、重度の解離性同一性障害です。

Kim Nobleは14歳から20年間にわたり、入退院を繰り返し、2005年頃から介護人の提案で絵を描き始めます。Kim Nobleの特異なところは人格ごとに全く異なる絵を描くということです。それぞれの人格が描き始めて、約1年ほどで、個展を開くほど精力的に絵を描いています。

ここでその人格ごとに描かれる絵をご紹介します。だいたい12〜20人くらいの人格が入れ替わるそうで、名前の本名の「Kim Noble(キム・ノーブル)」という人格は存在しないそうです。

主人格である「パトリシア(Patricia)」は最近現れた人格で自身の娘(エイミー)を生んだ記憶もないそうです。生んだ際の人格は「ドーン(Dawn)」です。かなり複雑に人格が入れ替わっているようですね。そんな状況が絵にも現れているようにも思えます。

精神分析学のV・シナソン博士によると多重人格の大きな原因の一つは身体的、性的、精神的な虐待であることが分かってきたそう。幼い頃、虐待などの辛い体験が続くと、それを経験しているのは自分ではなく別の存在であると思うようになります。多重人格は自分の中に痛みや苦しみを担う他者を作り出すことで本来の自分を守る仕組みだと考えられています。キムの場合、その身を守るため20通りの人格を生み出すことが必要だったのだと思われるそう。

1枚の作品として多重人格である事を言わなければ、パトリシアの人格の時の絵やアノンの時の絵においては「現代美術作家の作品」にも見えてもおかしくなかったかもしれませんが、一番彼女の心理的な状態が明確に伝わるのが、リア・プラットの時の絵だったのかもしれません。 

彼女がどのような環境で育ったかは分かりませんが、美術作家というよりは一人の人間としての作品という印象がとても強い「リア・プラット」の体験的な絵には、なんだか彼女がされた体験に基づいているような光景に見え、かつての忌まわしい記憶を訴えたかった手段として絵画があったのではないかと、そう感じました。

彼女のような多重人格者ではなくても若者に多く見られる「自分とは何か」という疑問を抱く自己の喪失の事を「アイデンティティークライシス」【identity crisis】と呼ぶようですが、美術における表現のインプットアウトプットと心理的な側面がこんなにも近しく、切っても切れないものであることや自分という人間がいかに脆弱で繊細なものか考えさせられます。

自分という人間は1人しかいないという事が、全ての人において「当たり前に通用する」とは限らないという事をまざまざと感じる作品群です。






パトリシア(Patricia)

エイミーが母と呼んでいる日常生活を切り盛りする人格で20の人格の代表

リア プラット(Ria Pratt) 

人物らしきシルエットが描かれていますが、幼児を虐待しているかのような光景や、血が飛び散っているなどかなりショッキングな内容となっています。実体験なのか、何かしらに影響を受けたのか、人物の配置などリアリティがあります。

アビ(Abi)

作品は表現的に洗練されている印象はあります。意図的な構図や人物描写など、とても上手ですね。以下に作品が多く掲載されていますのでご覧ください。こちら⇨Abi – Kim Noble

アノン(Anon)

ボニー(Bonny)






ドーン(Dawn)

ケイ(Key)

ジュディー(Judy)

人格年齢は15歳の少女。シンメトリーの構図を多用しています。性格となんらかの関係があるのでしょうか。

ケン(Ken)

ミミ(Mimi)

MJ

スージー(Suzy)

その他の人格が描いた絵。結構、特徴的な作品がありますね。描いている対象とかシチュエーションとか、何をテーマに描いたのかきになるところですね。

VirtualGalleries Kim Noble & Co







妻は多重人格者

多重人格者 あの人の二面性は病気か、ただの性格か (こころライブラリー イラスト版)

多重人格者の真実 (講談社SOPHIA BOOKS)

 
 
 

2013年11月28日に投稿された記事を再編集しています。

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