【デロリの世界】一度見たら忘れられない異様な迫力。日本画壇の先駆者達の濃ゆ〜い近代絵画

明治から大正期にかけて描かれた画風や絵のテイストが濃く奇妙、奇怪、不気味な作品でビジュアル的にインパクトのある作品をご紹介します。

これらの作品は「デロリ」という言葉で形容されることが多く、その言葉から作品の異様さが表現されています。もちろんいい意味で。「デロリ」というのは画家・岸田劉生が甲斐庄楠音の作品のことを例えた言葉です。特に大正期は不可思議な「デロリ」作品が多く生まれたようです。ここではその代表的画家8人を取り上げました。

「デロリ」とは何か? それは、濃厚で奇怪、卑近にして一見下品、猥雑で脂ぎっていて、血なまぐさくもグロテスク、苦いような甘いような、気味悪いほど生きものの感じを持ったもの
芸術新潮より






1.「花宵(はなびら)」甲斐庄楠音(かいのしょう ただおと)(1894-1978)
「デロリ」といえば甲斐庄楠音の一連の作品。このほかにも遊女を多く描いています。作家岩井志麻子の「ぼっけえ、きょうてえ(角川ホラー文庫) 」「岡山の女」の表紙にも使われていますよ。こちらで多くの作品を見ることができます。
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2.「尿する裸僧」村山槐多(むらやま かいた)(1896-1919)
こんな人物を描く画家を見たことがあるでしょうか。村山槐多は23歳という若さで亡くなっています。画家としても有名ですが短編小説の「悪魔の舌」もとても有名ですね。
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3.「浦島図」 山本芳翠(やまもと ほうすい)(1850- 1906年)
これを初めて見たときの衝撃は忘れられないものがあります。浦島太郎が竜宮城から助けた亀に乗り帰ってきている様子を描いています。艶かしい人魚と昔話のワンシーンこんなにも魅力的に描いた作品は他にはないでしょう。画面全体を漂うヌラヌラ感がハンパないです。この山本芳翠の「浦島図」は岐阜県立美術館で見ることができますよ。
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4.「風俗鳥獣画帖 髑髏と蜥蜴」河鍋暁斎(1831-1889)
ご存知の方も多いはず。とても有名な作品ですね。多くの美人画、蛙、骸骨、妖怪などをモチーフにした作品を残しています。河鍋暁斎wiki
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5.「慈母観音図」牧島如鳩(まきしま にょきゅう)(1892-1975)
西洋のマリアとキリストを描いた宗教的題材「母子像」が元となっています。それ仏教的なアプローチ表現するなんて驚きですね。超コッテリ味の「母子像」ですね。牧島如鳩wiki
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6.「野童女」岸田劉生、(1891-1929)
怖いし、不気味過ぎ。これが娘を描いた作品なんてちょっと信じられません。夢に出てきそう・・・。この作品のほかにも娘の「麗子」を描いた作品を多く残しています。岸田劉生wiki
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7.「太夫」稲垣仲静(ちゅうせい)(1897-1922)
26歳という若さで亡くなっています。甲斐庄楠音の遊女同様、妖艶でグロテスクな人物が描かれています。なんで笑ってるんだろう・・・
コトバンク – Kotobank


8.「羽衣天女」本多錦吉郎(きんきちろう)(1850-1921)
本多錦吉郎の代表作とされている有名な作品。天使?天女?が混ざったようなとても不思議な作品。デロリの系譜にある作品です。西洋絵画の影響が色濃く見られますね。こちらの作品は兵庫県立美術館に所蔵されています。


9.「拳を打てる三人の舞妓の習作」岡本神草(しんそう)(1894-1933)
こちらにこの作品の詳しい情報があります。実はこの作品、元の絵から切断された作品だそうで、両脇には他の舞妓がいたそうです。完成した背景が実に興味深いです。是非ご覧下さい。岡本神草 wiki

情報提供ありがとうございます。

他には江戸後期の絵師、狩野一信の「五百羅漢図」や曾我蕭白の「群仙図屏風」など時代を考えなければそれと思われる方はたくいらっしゃいます。





岸田劉生美術思想集成 後篇―うごく劉生、西へ東へ 「でろり」の味へ
岸田劉生美術思想集成 後篇―うごく劉生、西へ東へ 「でろり」の味へ

2014年4月11日に投稿された記事を再編集しています。

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