知られざる木版画絵師。クリムトも魅了した小原古邨(おはらこそん)の描いた花鳥獣図

「小原古邨」展が2019年2月1日(金)~3月24日(日)の期間に太田記念美術館で開催されます。

こちらは明治時代から昭和時代にかけて活躍したの浮世絵師・木版画家の小原古邨(おはらこそん)の木版画作品です。

小原古邨は、明治10年2月9日現在の石川県金沢市に生まれています。本名は小原又雄で、父は加賀藩に仕える本多家の家臣で文章を書く役職である祐筆を務めていました。ですが、父は古邨が5歳の時になくなっています。上京して、鈴木華邨に学び、アメリカの東洋美術史家のアーネスト・フェロノサの指導を受けました。プライベートでは、二男三女をもうけていますが、長男と三女は生後間もなく、亡くなり、結婚した妻の境野アイとは協議離婚をしています。

生涯多くの花鳥画を残しています。海外での評価が高く、オランダ国立アムステルダム美術館、スミソニアン・サックラー美術館、R・O・ムラーコレクション等が所蔵し、画家グスタフ・クリムトも小原古邨作品を蒐集したそうです。クリムトの他に、ロバート・ムラーやオランダのジャン・ペレなども熱心に古邨の花鳥版画を蒐集しました。

これまで日本ではあまり紹介されていませんでした。というのも、古邨の作品は外国向けのお土産品として制作されていました。そのため、日本に古邨の作品があまり残っていませんでした。ですが、近年、回顧展が開催されることがあり、今後、今よりも注目を集める絵師の1人です。日本にコレクターがいなかったわけではなく。日本にも小原古邨の作品をコレクションした日本化薬株式会社の会長であった原安三郎(1884-1982)という人物がいます。日本屈指の数である260点あまりの古邨作品を所蔵しています。2018年には、小原古邨の作品を展示した「原安三郎コレクション 小原古邨展」で作品が展示されています。

明治期に江戸錦絵を凌ぐ優れた木版画が主に欧州向けに創られました。特に人気の高かった省亭と古邨の肉筆画や木版画は価値ある芸術作品として受け入れられ美術館、コレクターに収蔵され、ロートレック,モネ、アマンジャン、ドニ、スタンラン、ブラングィン、アンソール、クリムト、シーレ等の画家達は常識を超えた表現に驚き作品を収集し参考にしました。






小原古邨「桜にカラス」 明治末期作(1910-1923)

小原古邨「踊る狐」

小原古邨「踊る狐」

小原古邨「桃の花に鸚鵡」






小原古邨「雪の柳に烏」

小原古邨「雪の柳に烏」

小原古邨「金魚鉢と猫」

この飼いと思われる赤い首輪を付けた猫を描いた作品も素敵です。好奇心旺盛な表情や金魚を狙い澄ました顔つきが素晴らしいです。やんちゃな猫が描かれていますね。溺愛していたことが伺える作品です。

小原古邨(おはらこそん)

小原古邨「猫と提灯」(渡邊木版美術画舗蔵)

こちらはネズミを捕まえています。
小原古邨(おはらこそん)

すべての画像を見る






見比べると興味深いです。以下の作品も合わせてご覧ください。
簡素で的確な描写。日本画家・竹内栖鳳の描いた猫
鋭い観察眼とデッサン力。画家・藤田嗣治が描いた猫たち。
愛しき者の死に向き合った写真。荒木経惟が22年間捉え続けた愛猫チロの姿

参考サイト

小原古邨
クリムトを魅了した明治の絵師
Ohara Koson | Behnke • Doherty Gallery

この記事の参考文献、及び小原古邨(おはらこそん)の作品集

小さな命のきらめく瞬間  小原古邨の小宇宙(ミクロコスモス)
小池満紀子
株式会社青月社 (2018-10-12)
売り上げランキング: 86,196


Crows, Cranes & Camellias: The Natural World of Ohara Koson 1877-1945

Crows, Cranes & Camellias: The Natural World of Ohara Koson 1877-1945
Amy Reigle Newland, Jan Perree, Robert Schaap
Hotei Pub
定価 ¥16,484(2017年11月17日8時5分時点の価格)

 
 
 

2016年10月22日に投稿された記事を再編集しています。

この記事に興味のある方はこちらもオススメです

【乙女デコ】大正ロマン溢れるアール・デコスタイル。小林かいちの花開いた絵葉書が素敵... こちらは小林かいち(1896-1968)の作品群です。小林かいち(本名:小林嘉一郎)は主に木版絵師、図案家として大正後期から昭和初期に絵葉書や絵封筒などのデザインを多く手掛けました。京都を活動の拠点としており情緒溢れる風景や物憂げな女性たちを描いています。 当時若い女性を中心に人気があった...
日本の現代版画を世界に知らしめた人物。芥川賞作家としても有名な芸術家・池田満寿夫の版画作品... こちらは芸術家・池田満寿夫(1934-1997)の作品。ここでは版画作品をメインで紹介しますが、版画だけでなく挿絵画家、彫刻家、陶芸家、小説家、詩人、映画監督とかなり多彩な活躍をしていました。ニューヨーク近代美術館で日本人として初の個展、第33回ヴェネツイア・ビエンナーレ展版画部門の国際大賞受賞、1...
女性の何気ない美しさ。伊勢生まれの女流画家・伊藤小坡の描いた日常生活の中の美人達... 三重県は伊勢生まれの日本画家、伊藤小坡(いとうしょうは)(1877-1968)の作品をご紹介。直下の作品は1916年に描かれた「つづきもの」という作品です。釜や手ぬぐい、新聞、こんなに生活感溢れる環境でありながら細やかな観察眼で繊細でおくゆかしい女性が描かれていることに驚きます。 自身の家族や...
【江戸〜明治】感染症への注意や健康を促す浮世絵・啓蒙ポスター集... カリフォルニア大学サンフランシスコ校に保管されている健康を促すポスターをご紹介します。 これらは江戸〜明治時代初期に制作された木版画です。病気に対する予防法などがこのようなビジュアルで浮世絵として伝えられていたことが興味深いですね。 当時は普通なのかもしれませんが、現在見るとユーモアと機...
月岡芳年、歌川国芳など。「戦争」をテーマとした浮世絵の展覧会が太田記念美術館で7/1から... 太平洋戦争が終結してから70年の節目にあたる今年に戦争をテーマとした浮世絵の展覧会「浮世絵の戦争画 -国芳・芳年・清親」が2015/7/1(水 )~7/26(日)の期間に渋谷区神宮前にある太田記念美術館で開催されます。 「戦後70年。浮世絵は戦争をどのように描いていたか。」ということにスポット...
【超絶技巧】江戸後期から明治にかけて活躍した象牙彫刻家・島村俊明... こちらは島村俊明(1855・安政2年-1896・明治29年)(しまむらしゅんめい)の象牙彫刻作品です。上の作品は高さが約33㎝。豊かな表情とポーズの柔軟さ、細密に刻まれた衣服の文様など技術の高さが伺えます。 歴史上の人物をモチーフにした作品が多く、明治時代の象牙彫刻全盛期の一翼を担いました。 ...
     

SNSで更新情報を配信中!!