戦争による「破壊」を象徴。画家ルドルフ·シュリヒターの作品「盲目のカ」

Rudolf Schlichter(ルドルフ·シュリヒター)(1890-1955)は1890年にドイツのカルフで生まれ、1955年ミュンヘンで亡くなっています。新即物主義(New Objectivity)という第一次世界大戦後に勃興した美術運動のメンバーの1人です。ルドルフ·シュリヒターも同様ですが、ナチスの台頭とともに退廃芸術として迫害を受けます。

ルドルフ·シュリヒターのこの作品「盲目のカ」は、「破壊」を象徴しています。目を覆うほどの鉄のマスクをかぶった中央の兵士は軍神マルス。視野は限定され物事を判断する材料が何一つないというよりかは、まったく何も見えていません。正しいことが何であるかのさえわからなくなっている状況を表しています。そして、絶壁の淵まで来ています。

右腕には三角定規がはめられており、手には大きな金槌、左手には短い剣を持っています。左のふくらはぎには戦争の象徴である脛当て、膝間接部分にはマルスの象徴である雄羊の頭部が見えています。腹部には、醜いクリチャーたちがへばりつき、内臓を食い散らかしています。巨人は、まるでそのことに気づいていないようです。

1937年に戦争を的確に予言し、描いたこの作品で、ルドルフ·シュリヒターはナチス当局から警告を受けて、17点の作品を没収され、1939年には作品の展示が禁止されています。

ビジュアル的なインパクトがとても強く、また、描かれたすべてのものに意味が込められ、象徴的に描かれた情熱というか、執念みたいなものが画面がから滲み出ていますね。一度見たら忘れられない強さがある作品です。






Rudolf Schlichter(ルドルフ·シュリヒター)「盲目のカ(Blind Power)」 カンヴァスに油彩、179x100cm

盲目のカ

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