ビアズリーの怪奇的幻想作品。25歳で夭折した光と闇の魔術師


オーブリー・ビアズリー(Aubrey Vincent Beardsley)(1872-1898)はイギリスの南東部の街ブライトンで1872年に生まれます。幼い頃から音楽の才能があり、7歳頃から絵を描き始めています。8歳頃から肺結核の兆候が現れますが、当時は、まだ治療法が確立されていないため、肺結核の症状に悩まされます。

グラマースクール卒業後、16歳でロンドンにある測量事務所の事務員として働きながら絵を描き続けていました。店主フレデリック・エヴァンズのショーンズ・アンド・エヴァンズ書店に通っていたことで、店主はビアズリーの才能を知り、「アーサー王の死」の挿絵画家を探していた出版社のJ・M・デントに、ビアズリーを紹介しました。19歳でその「アーサー王の死」の挿絵の仕事を依頼され、それを機に画業により生計を立てます。「アーサー王の死」での仕事の報酬は事務員の給与の3倍にあたる250ポンドでした。

17歳の頃から病状が悪化しています。その後、1894年22歳の時に発表されたオスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の挿絵の仕事で話題を集め、「サロメ」と同時に進行していた「イエロー・ブック」の美術編集を担当し、これもまた評判となっています。次から次へと仕事が舞い込む人気作家となり、一躍時代の寵児となります。

25歳になるとさらに肺結核が進行し、制作に支障をきすようになります。南フランスのマントンに保養のために赴きますが、同年の1898年25歳という若さで亡くなっています。

同時代的には、25歳で亡くなった1898年にはグスタフ・クリムト率いるウィーン分離派の第一回目の展覧会が開催されています。25歳という若さで亡くなり、そして、絵を描いた期間はわずか数年という短い期間でこれだけの傑作を残したことに驚きを隠せませんね。






    作品リスト

  • 楽劇「ジークフリート」第二幕
  • ペル・メル・マガジン
  • 「アーサー王の死」第一巻口絵
  • ふくらはぎからの誕生「本当の物語」挿絵(未使用)
  • 孔雀の裳裾「サロメ」挿絵
  • 踊り手への褒美「サロメ」挿絵
  • クライマックス「サロメ」挿絵
  • 「サヴォイ」創刊号表題

オーブリー・ビアズリー 楽劇「ジークフリート」第二幕 ペン、インク、淡彩 1892年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館

ビアズリー

オーブリー・ビアズリー 新改宗者、魔術はどのように彼に示されたか「ペル・メル・マガジン」 1893年

オーブリー・ビアズリー 探し求めていた獣に出会うアーサー王「アーサー王の死」第一巻口絵 ペン、インク、淡彩 1893-1894年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館

ビアズリー

オーブリー・ビアズリー ふくらはぎからの誕生「本当の物語」挿絵(未使用) 1894年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館

ビアズリー

オーブリー・ビアズリー 孔雀の裳裾「サロメ」挿絵 1894年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館

ビアズリーの代表作として有名なサロメのエピソードは新約聖書に伝えられています。洗礼者ヨハネは、ユダヤのへデロ王が死んだ兄弟の妻であったヘロディアと結婚したことを避難した為に、ヘロデ王に捕らえられていました。ある宴の席で、ヘロディアと前夫との娘であるサロメが見事な舞を踊ったので、ヘロデ王は欲しいものをなんでも与えることを約束した。サロメは、洗礼者への恨みを抱くヘロディアにそそのかされて、王にヨハネの首を所望。ヘロデ王は困惑しながらも、約束を守ってヨハネを斬首させました。この物語を脚色したのがオスカー・ワイルドです。
ビアズリー「サロメ」

オーブリー・ビアズリー  踊り手への褒美「サロメ」挿絵 1894年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館

オーブリー・ビアズリー  クライマックス「サロメ」挿絵 1894年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館

ビアズリー「サロメ」






オーブリー・ビアズリー  「サヴォイ」創刊号表題紙デザイン 1896年

オーブリー・ビアズリー  エドガー・アラン・ポー「モルグ街の殺人」挿絵 1894-1895年

オーブリー・ビアズリー  エドガー・アラン・ポー「黒猫」挿絵 1894-1895年






この記事の参考文献、及び作品集

ビアズリー怪奇幻想名品集 (ToBi selection)
冨田 章
東京美術
売り上げランキング: 252,210
オーブリー・ビアズリー―世紀末、異端の画家 (小さな美術館)
河村 錠一郎 島田 紀夫
河出書房新社
売り上げランキング: 508,890
オーブリー・ビアズリー
パイインターナショナル
売り上げランキング: 376,232

ビアズリーのポスターはこれがおすすめ

この記事に興味のある方はこちらもオススメです

包帯を巻いた痛々しい子供達。超リアルでシリアスな光景を描いたゴットフリート・ヘルンヴァインの絵画作品... アイルランドとロサンゼルスの両方を拠点として活動しているオーストリア系アイルランド人の画家、写真家のGottfried Helnwein(ゴットフリート・ヘルンヴァイン)の絵画作品をご紹介。 彼の作品の中でも傷ついた包帯を頭部や手首全体に巻きつけた少女の作品は代表作とも言えるほど有名です。苦し...
「不思議の国のアリス展」が全国巡回。シュヴァンクマイエルに清川あさみ、アーサー・ラッカム 、草間彌生... イギリスの作家ルイス・キャロル(Lewis Carroll )(1832-1898)の「不思議の国のアリス」は、1865年に出版されてからすでに150年以上の月日が流れてもなお絶えることなく読み継がれている物語です。多くの人々に、また多くのアーティストやクリエイターに影響を与え続けています。すでに1...
H・R・ギーガーの特異な世界観。「エイリアン」のクリチャーデザインで知られる画家... 映画「エイリアン」のクリチャーデザインを手がけたスイスのクールで生まれた画家でイラストレーターのH・R・ギーガー(1940-2014)はグロテスクでエロティックな作品を制作することでとても有名なアーティストです。名前の「H・R」は「Hans Ruedi(ハンス・リューディ)」の略。ファンタスティック...
【必見】映画「エイリアン」で有名なH・R・ギーガーの展覧会が銀座で開催... スイス人のアーティストH・R・ギーガー(ハンス・ルドルフ・ギーガー)と言えば、SF映画「エイリアン」を思うかべる方が多いと思います。H・R・ギーガーは「エイリアン」に登場するあのグロテスクで存在感のある怪物をデザインしたクリエイターです。映画ではその「エイリアン」だけでなく、「スピーシーズ 種の起源...
一筆の緊張感。無駄なものをすべて排除した余白の芸術... 李禹煥(リ・ウーファン)さんの絵画作品をご紹介します。李禹煥さんは1960年代末に始まった日本の現代美術の「もの派」という大きな動向の一員として有名で現在ヨーロッパを中心に活動している国際的評価の高い美術家です。 ここでは特に一筆で成立している絵画作品を中心にご紹介します。画面に引かれた一筋の...
まるで印象派の絵画。収集した蝶の羽をコラージュの素材として使用した平面作品... ロシアの芸術家Vadim Zaritskyの作品をご紹介します。これらの作品は蝶の羽を貼付け作られた絵画作品です。1つ1つの羽が筆のストロークのようでまるで印象派の絵画を見ているようです。 蝶を使った作品ですとダミアン・ハーストの作品を以前ご紹介しましたね。→「現代アーティスト・ダミエン・ハー...


検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る