H・R・ギーガーの特異な世界観。「エイリアン」のクリチャーデザインで知られる画家

映画「エイリアン」のクリチャーデザインを手がけたスイスのクールで生まれた画家でイラストレーターのH・R・ギーガー(1940-2014)はグロテスクでエロティックな作品を制作することでとても有名なアーティストです。名前の「H・R」は「Hans Ruedi(ハンス・リューディ)」の略。ファンタスティック·リアリズムの世界的第一人者のひとりです。

1940年にスイスに生まれ、チューリッヒの応用美術大学で建築と工業デザインを学びました。1964年までに、インクを用いた素描と油絵からなる最初の作品群を仕上げ、1966年には初の個展を開きます。やがて1969年にはポスターを初めて出版して、世界に販路を広げます。チューリッヒ劇場で行われた「早朝」の衣装デザインを担当。
その後すぐにエアブラシを自ら開発し、独特なスタイルを確立して、のちに有名となる作品をつくりあげた。これらの生体学に則した幻想的な絵は、声を得る第一歩となったのである。

1973年にデザインしたデビー·ハリーとエマーソン·レイク&パーマーのレコードアルバムジャケットは、ロックジャーナリストが選んだ音楽史上ベスト100に選ばれています。
1977年に出版されたギーガーの最初の本「ネクロノミコン」は、リドリー·スコット監督のヒット作となった映画「エイリアン」に視覚面でインスピレーションを与えました。その後、サルバドール・ダリの推薦を受けて、映画「エイリアン」でクリーチャーデザイン、クリーチャー造形を担当し、遺棄船、スペースジョッキー、ビッグチャップ、フェイスハガー、チェストバスター、卵などデザインしました。これがギーガーにとって初の映画参加となり、タイトルキャラクターと映画世界の環境をデザインして1980年第52回のアカデミー賞視覚効果賞を受賞します。

1984年にはプフェフィコーンの文化センターで個展が開催され、1987年、東京の西武美術館で個展を開催されています。1988年に東京の白金にギーガーワールドを体現したような「ギーガー·バー」をオープンしています。(現在は閉店)1992年に故郷にもオープン。その後、1998年にはグリュイエールの古城サン・ジェルマン城(Saint-Germain in Gruyères)に「ギーガー・ミュージアム」(右画像)が開館。

また、映画「エイリアン」の他に映画「スピーシーズ 種の起源」(1995年)では、新DNA実験体”シル”の変身はエイリアンをデザインしています。74歳でなくなるまでに、「エイリアン」、「スピーシーズ 種の起源」の他に「キラーコンドーム」、「帝都物語」の他に、ゲームでは、「邪聖剣ネクロマンサー」(左画像)のパッケージイラスト、「ダークシードII」では、キャラクターデザインを担当するなど、多くの作品に参加しています。
   






Necronom I 1976年

LiⅡ 1974年 紙にアクリル 200×140cm

Dune 1976年 紙にアクリル 70×100cm






Minion 紙にアクリル 1974年 200×140cm

Hommage a Becklin 紙にアクリル 1977年 

Mirror image 1977年 紙にアクリル 100×70cm

Cataract 1977年 紙にアクリル



ギーガーの展覧会

直近でいうと、タワーレコード渋谷店で「H・R・ギーガー ポスター&アート展」がH・R・ギーガーのドキュメンタリー映画『DARK STAR/H・R・ギーガーの世界』の公開を記念し開催されました。

またH・R・ギーガーの展覧会「ギーガー-陰翳の廻廊-」が2016年7月に銀座にあるヴァニラ画廊で開催されました。この展覧会では「Gallery Lucifer」の貴重なコレクションが展示され、主に、シルクスクリーン、彫刻、版画、限定品などが展示されました。

今後、ギーガーの展覧会情報があれば当サイトでお知らせしたいと思います。

H・R・ギーガーの映画

ベリンダ・サリン監督によるーガーに迫るドキュメンタリー「DARK STAR H・R・ギーガーの世界
」が2017年に公開されています。このドキュメンタリー映画では、自宅やアトリエが映像、また、インタビューも収録されれています。以下、予告編。

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映画「エイリアン」について

原案はダン・オバノン、リドリー・スコット監督で、映画「エイリアン」の制作に取り掛かっていましたが、当初、リドリー・スコットはエイリアンのデザインに納得できていませんでした。
そこでダン・オバノンが、ギーガーの作品集を見せたことによって、リドリー・スコットはギーガーにオファーすることに決めました。作品集に登場する作品の中にエイリアンの原型となる「Xenomorph」も掲載されていました。映画では、ギーガーの作品を忠実に再現しました。

ギーガーは異星人の遺棄船やエイリアンのデザインを受け持つことになったが、徹底した完璧主義者であり、自身の作品に強烈な自負を持っていた彼は、製作現場で度々スタッフと衝突し、上層部に対しても自分の要求を曲げなかった。4月5日になってこの対立は決定的となり、20世紀フォックスはそれまでのギャラを支払いギーガーを解雇した。契約成立から僅か1週間のことであった[56]。これについてギーガー自身は、契約では彼のサインした契約書がなければセットの製作はできなかったが、必要なデザインが既に仕上がっており、サイン済みの契約書が手元にある以上もはや用はなかったのだろうと推測している。しかしギーガーは自分がすぐに必要とされることを予見して、チューリッヒでデザイン作業を続行した。

その予測は的中し、指揮者のいない現場は早速迷走をはじめ、本来のデザインとは程遠いセットになっていった。結局、彼の必要性を上層部も認めざるを得ず、5月末になってギーガーは現場に復帰している。出来損ないのセットは放置されず、現場の美術スタッフのモチベーションを高めるため、そして新しいセット製作の準備が整うまでの時間稼ぎのため、あえて完成まで製作された後でスクラップ処分になった。これはギーガーにとってはまったく理解に苦しむ出来事であったという。wiki

映画「エイリアン」については以下の動画が詳しいのでご覧ください。(※英語ですが、翻訳機能で日本語字幕が表示されます。)

ギーガー・ミュージアムについて

ギーガー・ミュージアムは、スイスのグリュイエール城にあります。4月〜10月のみ開館しており、ギーガーの絵画や彫刻、オブジェ、家具や映画のためのデザインなどが常設展示されています。ミュージアムショップも併設されており、ギーガーを購入することも可能で、H.R.ギーガー・カフェ、バーもあります。


ギーガー・ミュージアム | スイス政府観光局

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【2】【必見】映画「エイリアン」で有名なH・R・ギーガーの展覧会が銀座で開催
【3】【BEST20】追悼。H・R・ギーガーの手掛けたアルバムワーク
【4】【祝40周年】「エイリアン」のショートムービー予告編がYoutubeで公開

参考文献及び作品集

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作品掲載元

HR Giger – The Official Website
The Original “Alien” Concept Art Is Terrifying
H.R. Giger – 6 Interesting Facts
INSIDE THE GREATEST SCI-FI FILM NEVER MADE
Giger’s Necronom VI
HR Giger’s Necronom I references Ernst Fuchs “Vision” (1953) ?



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